こどもクラブは1歳から学ぶ幼小一貫の幼児教室。知性と社会性、心の発達を高めます。

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「こどもクラブ教育シリーズ 〜幼児・小学生教育を考える〜」


土肥恵美子 いま、あらためて幼少期教育の大切さが指摘されていますが、どのようにお考えですか。
羽生善治氏(以下、敬称略) 子どもたちが成長していく上で大きな糧になるのは、夢を実現できるようにあきらめない心を育むことです。そのためには夢を描くことを楽しむ心が大切です。
竹馬遊びを例にとりましょうか。5分でマスターできる子、30分以上かけてやっと竹馬乗れるようになった子、さまざまでしょうが練達には個人差は付きものですが、それが問題ではないのです。その経験値が、夢を追いかける際に大切な「モノサシ」になることを知ってほしいのです。経験を重ねることで獲得できた多様な「モノサシ」は、その後の生き方とか考え方を形成していく力になります。
土肥 経験を持続させる意欲と大小の「モノサシ」を会得するためには何が大切なのでしょうか。
羽生 同じことを繰り返す「反復力」でしょうね。時間をかけてリズムよく、五感を駆使し、反復する精神は、間違いなく「記憶力」を鍛えてくれます。それが「モノサシ」に磨きをかけてくれるはずです。
力を持続させるには、「夢」とか「目標」は必要で、実践していくうち思いもかけなかったこととか、新たな課題が見えてきます。課題が見えたらそのことを家族や友だちに話したり、書き残す方法で周りの人たちに発信することが大切です。
土肥 羽生さんが、将棋体験を通し感性に磨きをかけられたことは、小学6年生の道徳教育の教科書でも紹介されていましたが、どのような少年時代だったのでしょうか。
羽生 野球やサッカーや缶けりなど学校の友だちと一緒に遊ぶことが大好きなごく普通の少年でしたよ。学校の成績は真ん中くらい。決して目立つタイプではありませんでした。
今思えば、小学1年生の時に遊び友だちから「将棋をやろう」と誘われたのが大きな節目でした。小学2年の時、地元(八王子市)で開かれた子ども将棋大会に出場したことで「勝ちたい、強くなろう」という気持ちが強くなったことは確かなことでした。
早速、近くの将棋道場に通うことで、さらに将棋のおもしろさを知りました。そして楽しさが増し、夢を追いかける少年になったようで、負けても「次に勝てばいい」と切り替えがちゃんと出来るようになっていました。

土肥 将棋の魅力に引き込まれた「経験」、つまり「モノサシ」が、その後の人生の礎になったわけですね。

羽生 将棋とは、お互い20枚の駒を一定のルールに従って縦横無尽に機動させ、勝負がつくまで知恵や決断力を競い合う世界です。とりわけ、勝ちと負けが明確になる「潔さ」は大きな魅力です。だからなのでしょうか。少年時代から将棋で負けても「次に勝てばいいや」と考えるようになったのでしょうね。そもそも将棋には「こうやれば勝てる」という定跡があるようで、実はないんですね。その複雑怪奇なところが、魅力的というか、おもしろいところです。
将棋の醍醐味をもうひとつ付け加えると、先述した「経験値」や「モノサシ」の蓄積によって真摯に対処する「集中力」が身に付きます。子どもって楽しく遊んでいる時が一番集中している時ですよね。おもしろい時空間を継続すれば、夢を追いかける心は涵養されていきます。その点、大人も子どもも同じですね。
土肥 私も「子どもたちは楽しい遊びの経験あってこその厳しい学びに耐えていく心が育つ」と思っていますが、その土台をどう築くか。そのプロセスが大切なのですね。
羽生 勝負の潔さとか、厳しさを知ったのは、小学6年生の時でした。プロの養成期間に入りましたが、そこには年齢制限があり一局一局が真剣勝負でした。ですから負けてもすぐに立ち直り、進む気持ちが不可欠でした。それがプロ棋士としての心をさらに鍛えてくれたように思います。でも、いたっておとなしい、ごく普通の少年でしたよ。
土肥 現在“稀代の天才棋士”と注目を集め、日本の将棋界を牽引されている羽生さんの伝説からは、夢を実らせるためのキーワードがたくさん秘められているように感じていますが…。
羽生 プロ棋士としての体験を重ねるうちに、将棋体験が将棋以外の物事の価値判断の基準になっていることは確かですね。
人生のケーススタディというのでしょうか。例えば、困ったことやリスクに遭遇しても、生きて行くためにどうしたらいいのか、という選択肢が見えてきます。人生にミスが付きもの。困難な状況から抜け出す知恵や選択肢を将棋から学んだことを生かしています。
土肥 とても興味深いお話です。幼少教育の課題は「考える力」や「対応力」そして「順応力」を養うことの重要性を知ることですね。
羽生 将棋は計40枚の駒の利点を生かし、どのような作戦を立てるかという「構想力」、数ある未来の中から何がベストかを識別する「判断力」。そして実行する勇気と「決断力」のほか、視覚や嗅覚など五感をフルに生かす「知恵」が求められます。幼少期教育にも共通する普遍的な力が求められているようですね。
土肥 子育ての世界では、「こんな時どうしたらいいだろうか」と考え込んでしまうことがしばしばあります。迷った時、羽生さんが考えるキーワードとは何でしょうか。
羽生 「迷う」ということは、情報が多すぎて何を一番に優先したら良いか、が解らない状況であり、不安や心配が先行してしまった時です。
自分の視点、相手の視点、客観的な視点を多様なアプローチによって少しずつ「迷い」を消すことができてば、進むべき道は自ずと見えてくるのではないでしょうか。
土肥 インタビューの締めくくりに、羽生さんが思い描く当面のテーマと、いま子どもたちに伝えたいメッセージ(言葉)を聞かせてください。
羽生 当面の課題は、棋士として価値のあること(実績)を確実に残していくことです。そのためには棋士道を極めるべく努力していきたいと思います。
子どもたちへのメッセージとしては、生きるために必要な礼儀とかルールを覚えたら、次になるステップとして「体験」を積み重ね、「持続」させることです。例えば、将棋に興味が湧いたら何百回も対局すること。その集中した力があれば、レベルアップへの道は開かれます。
どんなことでもいいから、好きなことを続けること。結果よりも夢を追いかけるプロセスが大切です。たとえ、好きなことが見つからなくても、立ち止まらずに探し求めることが大切です。
土肥 私たちは「学ぶことは子どもたちにとって何よりも楽しい遊びである」という基本的理念を大切にしながら夢の実現に向け「考える力」を持った子ども育成に力を注いでいきたいと思います。
今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。

 

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